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じんるいのせいぞんきょうそう

進化と人生(上)

丘 浅次郎

線上閱讀丘 浅次郎《進化と人生(上)(じんるいのせいぞんきょうそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 82,343 字 · 164 頁

青空文庫

以上述べたごとく、人間の大脳なるものは決して最初から今日のごときありさまにできたものではなく、初めは脳髄の中でもはなはだ小さい部分をなすに過ぎなかったものが、漸々進化してついにわれわれの見る通り、全脳髄の大部分を占めるほどに大きくなったものなることは比較解剖学上からいうても、発生学上からいうても、真らしいことである。また化石のほうを調べてみても、先年オランダ領インドで発見せられた「猿人」(Pithecanthropus)という猿と人間との中間に位する動物では、脳髄のはいるべき頭骨内の腔所の広さがほぼ猿と人間との中間くらいであり、また古い石器時代の人間の遺骨を調べて見ても、脳髄のあるべき頭骨内の腔所が今日の人間にくらべるとはるかに狭いことなどから考えると、大脳の漸々進化しきたったものなることは、これらの三組の事実のことごとく証明するところで、もはや決して疑うことはできぬ。

「人と猿人との頭骨比較」のキャプション付きの図

人と猿人との頭骨比較

さて生物の身体における各器官が漸々進化するのは何によるかといえば、これは主として自然淘汰の働きによることで、生存に必要な器官の最もよく発達したものが、代々生き残って子孫をのこした結果、ついに今日の域までに進みきたったのである。