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ずいひつ みやもとむさし

随筆 宮本武蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 頁

青空文庫

その僧の素姓も不明である。

十六歳、但馬国へ赴き、秋山某と試合したとあるが、それが、真実なら彼の初旅行はその時からといってよい。関ヶ原合戦以後、この地方にも、小波瀾があり、住人の流転が始まっている。武蔵も、いずれはその流亡者の一人だったことにはまちがいない。

武蔵の離郷前後のことでは、彼の郷土にゆくと、いろいろ云い伝えられている口碑はある。しかし、伝説的価値以上の根拠はない。厳密に、史実として、篩にかけると、たとえ二天記や小倉碑文に書かれてある事項でも、どの程度の真実性があるかということになる。けだし「史実」ということになれば、決して、そう生やさしく、鵜呑みにしてよいものではない。

関ヶ原役の後から、彼が、天涯漂泊の一さすらい人であったことは、疑う余地もないことといえる。しかしその間の足蹟は、まったく、雪上の鴻爪みたいなものである。

碑文、二天記、その他の諸書。それと傍証的ないろいろの角度から見て、吉岡家との一乗寺下り松の試合。夢想権之助との邂逅。伊賀の宍戸某との出合い。奈良宝蔵院の訪問。出雲松平家における同家の士との試合。名古屋城下の柳生兵庫とのこと。