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ずいひつ みやもとむさし

随筆 宮本武蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 頁

青空文庫

作家の平田晋策は、播州が郷里だが、何でもこの平田姓のほうの流れで、武蔵の縁家が先祖だと、いつか汽車の中で聞いた。武蔵の父が新免無二斎を名のり、彼も新免姓を時々用いたのは、功があって、主君から姓をもらったのであるという。これはほとんど定説である。また信じられる。

だが、その新免無二斎武仁が、室町将軍の義昭に呼ばれて、京都で将軍家兵法所の師範役吉岡憲法と試合をし、これに打勝ったという記録が、春山和尚と伊織の手で成った碑文にもあるし、二天記その他の諸書にも必ず載っているが、これは僕には呑みこめない。すこし墓碑銘的賛辞にすぎはしまいか。

御前試合というと、徳川期の吹上試合がすぐ考えられるが、足利義輝時代にはかなりそんな催しもあったろうと思われる。言継卿記に見える上泉伊勢守の天覧などもあるし、義輝はわけて剛勇で、最後の折、松永久秀の兵をうけて、武衛陣の庭上で、数十人の敵兵を斬って遂に斃れたという働きぶりを見ても、平常の鍛えのほどが窺われるし、兵法者は近づけていたろうことも想像できる。しかし、義昭将軍の代になると、そんな閑はなくなっている。義昭が、織田信長に擁立されて、将軍に任ぜられたのは、永禄十一年十月だ。