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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 頁
そういう例はずいぶんある。直木はこの吉岡伝を取り上げて反対側の武蔵伝がすべてこの書の云い分を全く収録していないのは怪しからぬ、それで公平に武蔵が考えられるか、両者を比較してみて、なお武蔵伝が絶対に正しいといえる者があるなら、その研究方法を聞きたいものだ――と独りで怒っている一節を全集に残している。
どうもつい、死んだ直木をひき合いに出して、僕も口のない人間に独り論議をやってるようですこし気が咎めて来たが、実は、四年ほど前に、直木がさかんに改造だの文藝春秋などで、武蔵をこき下ろしていた最中、読売新聞の座談会で出た僕のことばの端をつかまえて、武蔵を賞めた側に立った菊池寛と共に、僕も文藝春秋の上で呶鳴られたことがあるのだ。
何も今、決してそれを遺恨に書いているわけじゃないが、正直にいうと、直木が呶鳴った頃は僕はほんの観念的にしか武蔵について知識がなかったのである。五輪書や独行道ぐらいを含味して、剣道初期の剣人の中では、最も心境の高いところへ行った人間と考えていた程度で、座談会で武蔵を支持して云ったのも信念ではなくて、好きだというような気持のほうが多分で、確乎りした論拠と実証を持たないでの言葉であった。