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ずいひつ みやもとむさし

随筆 宮本武蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 頁

青空文庫

ほうが能率的じゃありませんか。――といってくれる。

大阪に約してある用事の都合で、私はどうしても午後の汽車で立たなければならないので、ではそうしていただこうと、支社の自動車にまかせてすぐ風師山へ向った。冬の狭霧がまだ深くて頂上からの眺望も模糊としてただ寒さにふるえ上がるばかりだったが、雲間のこぼれ陽が映すと関門の海峡一帯から、母島の彦島、そのすぐ東岸を少し距てて巌流島が見られ、連絡船の影だの起重機の鉄骨だの、雑多な船舶だの、そして陽がさしても、重工業のうす黒い煤煙がどことはなく一面に朝をつつんでいる。

いうまでもなく、この辺は要塞法による撮影禁止地域だし、スケッチも禁じられている。私は眸をこらして、ただ往時への想像に耽ってみるだけだった。

見たところ巌流島は、彦島の子島にすぎない一平州である。島の北崖がやや高く、東南へかけて平べったく海水とひたひたに渚の線を描いている。

彦島村役場の明治頃の土地台帳によると、巌流島全体の面積一反六畝十六歩とあるから、いかに小さい島かが分ろう。岸のいちばん高い所でも六十三呎ぐらいなものだとある。武蔵と巌流との試合が行われた場所は、その小島の中央からやや南寄りの平地だったといわれている。