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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 頁
しかし、実際問題として、いくら剣によるひとつの自然直観がすぐれていても、筆のあつかいやまた、線描だの溌墨の技術には、相当な画修行もしたにちがいないことは、いうまでもない。ただ、彼の場合は、その最晩年作とおもわれるものを見ても、どこかに、素人らしい稚拙はあって、決して、職業画家の陥りやすい匠気や俗技を帯びていないところに、特長がある。また、そこに武蔵画としての、おもしろさもあり、剣人の画として、余人の追従をゆるさない別天地もある。
どうして、彼が、画を描くような気もちになったろうか。――理由はいろいろに考えられる。しかし、これは現代人のわれわれからは、一見奇異であるが、その時代の時代常識からいえば、べつだん、特別なことではないのである。驚くべきは、ただ、それが非常にすぐれたものであったというだけのことでしかない。
総じて――といってもいい程に、武蔵の生涯した時代にかぎらず、その以前の室町期でも、また以後の江戸初期の頃をながめても、一体に、むかしの人は、多芸多能であった。
こころみに、本阿弥光悦とか、灰屋紹由とか、松花堂昭乗とか、あの頃の文化人らしい人々を端から見てゆくと、工匠でも、僧侶でも、医家でも、公卿でも、商人や武将でさえも、何かみな余技をもっている。