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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 頁
では、絶無かというと、また思いがけない書簡とか画蹟とかが、特に終戦後、旧藩家すじの蔵品整理などの内から出たりして、時々、話題を賑わすのであった。
従って、そういう正史面からの武蔵研究と、小説の宮本武蔵とが、いつか一般の人の武蔵観に錯雑と混同してゆく惧れがある。これは大いに私の罪である。私はいつかそれを正しく区劃整理しておく義務がある。そこで随筆武蔵は、もっぱら、その責任を果たすために書いたとしておけば、いちばん無難な理由にはなる。たしかに、それもこの書の一目的にはちがいないが、要はやはり、雑然たる随筆雑録のよせあつめで、余り意義だの目標だのは立てない方が、著者も気らく、読者も気らくに、散読に適すのではないかと思う。
小説とあわせ読んだ場合、史実から見た小説。また、小説から見た史実。どちらから覗いても、或るおもしろさは得られよう。その他は、読む人の視角と取捨にまかせるとしておく。
この書の初版は、昭和十四年に出ている。その以後も、読者から寄せられた資料口碑の雑片は少なくない。武蔵の三百年祭は、昭和十九年だった。あの終戦に切迫した中だったのに、各地で遺墨展なども催され、その折の新しい発見もあった。