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ずいひつ しほんたいへいき

随筆 私本太平記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 私本太平記(ずいひつ しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 56,947 字 · 114 頁

青空文庫

下車早々、Y京都支局長から「京大の教授に、足利尊氏の末孫という人がおられますがネ」と聞かされた。

しかし、これまでにも私は、何通となく「わが家は、足利尊氏の子孫と言い伝えられてますが」という読者の手紙をもらっている。で、たぶんY氏がいうのも、足利支流のそうした家系かと軽く聞いていたが、やがて宿の大文字家に落着いてからの話だと、どうもこれは聞き捨てならない。

そこで私は急に言い出した。

「ひとつ、今夜中にその人に会わせてくれませんか。明日は大阪、明後日はもう河内行きだから、ぜひ今夜中に」。

夕がた、南禅寺の龍村家の庭を拝見、その足で初子の営む奥山へ行く。先に諸方へ電話したり、記者を走らせて、手配を尽してくれたY氏も来て「やっと今、尊氏の末裔をつかまえましたよ。つい近所の細川護立さんの別邸内に住んでるんです、すぐお見えになるそうですから」と、まるでちょっとした捕物騒ぎ。

食事をひかえて、お待ちする。と、程なくその足利氏が見えられた。五十なかばか、物静かな紳士である。かりにその背広服を、直衣か直垂にかえ、頭に冠をのせたら、人品すでに、その物である。学究臭いぎこちなさもなく、酒は余り飲けないが、話はすごくおもしろい。