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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《青蛙堂鬼談(せいあどうきだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 121,438 字 · 238 頁

青空文庫

いわず、おかみさんともいわず、中を取って御新造さんと呼んでいるのでした。

「なぜまた、あの御新造がそんなことを言うのかしら、やっぱり冗談だろう。」と、母はやはり笑っていました。

わたくしも、むろん冗談だと思っておりました。ところが、お富の言うところを聴きますと、それがどうも冗談ではないらしいというのでございます。

飯田さんというのは、わたくしの横町をはいりますと、その中ほどにまた右の方へ曲る横町がありまして、その横町の南側にある大きい家で、門の両わきは杉の生け垣になっておりますが、裏手にはやはり大きい竹藪がございまして、門も建物も近年手入れをしたらしく、わたくしどもの古家よりもよほど立派にみえます。御新造さんというのは二十八九か三十ぐらいの粋な人で、以前は日本橋とかで芸妓をしていたとかいう噂でした。この人が女あるじで、ほかにお元お仲という二人の女中がおりました。お元はもう五十以上のばあやで、お仲はまだ十八九の若い女でしたが、御新造さんがコレラになりたいと言っていることは、そのお仲という女中がお富に話したのだそうでございます。

なぜだか知りませんけれど、御新造さんはこのごろ口癖のようにコレラになりたいと言う。