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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選(ひだのかいだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,271 字 · 263 頁
彼等の料見は到底普通の人間の想像し得べき限でないが、兎にかく或罪悪を犯すべき犠牲として、若い処女を担ぎ出して来たものと察せられた。冬子は口に桃色の手巾を捻込まれているので、泣くにも叫ぶにも声を立てられなかった。
我が恋の仇とも云うべき冬子が斯る危難に陥っていると知ったら、お葉は此際何んな処置を取ったであろう。が、表より洩るる朧の雪明では、お葉に其れと判然解らなかった。彼女は単に※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)の餌食となるべき若い女の不幸を憫れんで、何とかして之を拯って与りたいと思ったのである。而も対手は※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)三人で、此方は女一人、迂濶加勢に飛び出したら自分も何んな酷い目に遭うかも知れぬ。お葉は息を殺して猶も窺っていると、彼等は頻にキキと笑いながら冬子を彼の荒莚の上に投げ出した。
冬子も一生懸命である。裳を乱して一旦は倒れたが又忽ち跳ね起きて、脱兎の如くに表へ逃げ出そうとするのを、※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)は飛び蒐って又引据えた。お葉も既う見ては居られぬ。