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ぜにがたへいじとりものひかえ
鬼の面 ――銭形平次傑作選3
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《鬼の面 ――銭形平次傑作選3(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 28,312 字 · 57 頁
どうも八五郎の論告には、平次でさえも腑に落ちないものがあります。
「八、もう宜い」
「あ、親分――この二人がよっぽど変ですよ」
と突きつけたのは、良い男の手代駒三郎と、これも良い女の妾のお房の、取乱した姿でした。
「その変なのをどこで見付けたんだ」
「東両国の出合茶屋ですよ。土地の下っ引が嗅ぎつけて、デレデレして居るのを、しょっ引いて来ましたが」
「殺生なことをしやがる。尤も主人兄弟は死んでいるんだから、その装じゃ葬いの仕度もなるまい。お前にとっちめられたのは、飛んだ罪亡しかも知れまいよ、――ところで、蘭方のお医者はどうした」
「それなら、奥に居ますよ。馬道の恵斎先生と言って」
「よし」
平次は奥へ通ると、若い蘭方医の恵斎先生は、仕事をすませて、死骸を取片付けておりました。
「おや、銭形の親分だそうで、――お頼みだけのことはしましたよ。腑分けと言った大袈裟なことは出来ないが、幸い弾丸の代りに撃ち込んだ、細い鏨が、胸の近くまで脱けかけていたので、すぐ捜り当てて取出して置きました、これですよ」
恵斎先生は、懐紙の上に置いた長さ二寸ばかり、太さ煙管の吸口ほどの鋼鉄の鏨を押し出して見せるのです。