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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《魔術師(まじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 頁
橋詰の交番の巡査は、橋上の黒山に不審を抱いて、さい前から群衆の中に混っていた。無論彼は福田氏の顔を知らなかったけれど、流れて来たのが人間の生首と分ると、打捨てて置く訳には行かぬ。それどころか、これこそ大犯罪のいとぐちと異常な興奮をさえ感じて、早速附近を漕いでいた荷足舟の船頭に命じ、その異様な生首舟を拾い上げさせた。
首を括りつけた板は、明かに舟に擬したもので、その船首に当る箇所には、船名のつもりか、筆太に「獄門舟」と記されてさえいた。
アア、獄門舟、何という不気味な名称であろう。獄門台の代りに、水のまにまに流れ漂う移動さらし首だ。いうまでもなく、これは生前の福田氏に深き深き恨みを抱く、かの下手人が、死者に最大の侮辱を与える為に案出した、恐ろしき私刑に相違なかった。
この出来事は所管警察署を通じて、警視庁に伝えられ、生首の主が福田得二郎氏であることも忽ち判明した。
波越警部は、犯人の傍若無人なやり口に、重ね重ねの大侮辱を蒙り、鬼刑事の名にかけて、最早やじっとしていることは出来なかった。直ちに捜索刑事団が編成され、草の根を分けても犯人を引掴んで来いとの厳命が下され、波越刑事自身その先頭に立って、白※(「髟/(冂<はみ出た横棒二本)」