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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《魔術師(まじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 頁
「すると、今日は5という数字が現われる勘定だね。ハハハハハ、お前はそれを信じている様だね」
車は門前に着いて、グルッと方向転換をした。門の脇のコンクリート塀に、ヘッドライトが幻燈の様な円光を投げた。
「僕は殆どそれを信じています。殆ど……」
二郎はそこまで云ってハッと息を呑んだ。
「君、車を動かしちゃいけない。そのままじっとしているんだ」彼はまるで違った声になって、叫ぶ様に云った。「お父さん。ごらんなさい。あれを、あれを」
見よ、塀に写し出されたヘッドライトの円光の中に、まるで検微鏡で覗いた微虫の群かなんぞの様に、ボンヤリと、それ故に一層不気味に5という数字が現われているではないか。
幻燈文字はエンジンの響きにつれて、塀の上で微動している。ヘッドライトのガラスに墨で書かれたものだ。それが恐ろしく拡大されて塀に写ったのだ。
偶然であったか、故意であったか、丁度そこへ音吉爺さんが出迎えに出て来た。彼も円光の中の数字を見た。そして、「オヤッ」と一種異様の叫声を立てた。
「これは誰が書いたんだ。お前達か」
善太郎が激しい声で運転手を叱りつけた。
「ちっとも存じませんでした。