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かんしょうりょくなくしてしゅうじするなかれ

魯山人書論

北大路 魯山人

線上閱讀北大路 魯山人《魯山人書論(かんしょうりょくなくしてしゅうじするなかれ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,639 字 · 175 頁

青空文庫

こちらの眼が真に日本美術を認識するに及んでは、義理にも、もはや中国、朝鮮と一緒に交遊するわけにはゆかなくなる。陶器など内容的に殊に物足りないからだ。

書でも、画でも、彫刻でも、その他なんであろうと、日本の如く内容の力、すなわち、国民性的人格、それに具わる幽雅にして含蓄有る美しさをもったものは、中国にも朝鮮にもない。陶磁器においても勿論ご多分に洩れない。日本の物は、ちょっと見が華々しくないが、長く玩味するに及んで達人の味が出て来る。

私はかつて書道に没頭したこともあるが、最初は世間並に中国に非ずんば夜も日も明けない時があった。それが段々深入りしてから六朝、隋、唐などは先ず良しとして、その後の書というもの、実は風采ばかりなのだということに気がついた。かくして日本の上代書に眼が開き、日本の高僧偉傑の墨蹟に親しみを覚え、惹きつけられる時は、もはや明代あたりの書は物の数でなくなって、自然敬遠せざるを得なくなった。こうなって来ると、形や様式の美は全く芝居のお殿様であることが次第に判って来る。そういえば、なるほど名君といわれるには、人間として内容の優れたものが入用なはずだ。