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かんしょうりょくなくしてしゅうじするなかれ
魯山人書論
北大路 魯山人
線上閱讀北大路 魯山人《魯山人書論(かんしょうりょくなくしてしゅうじするなかれ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,639 字 · 175 頁
能書を語る
今日は「料理と陶器」の話を致すということでありましたが、そういうことになりますと、ここに三百点ぐらいの陶器を並べなければなりません。それに私はこの四、五日大変混雑をいたしておりまして、そういう準備はいたし兼ねたのでありました。それで外題を勝手に改めたのでありますが、御諒解ねがいたいと存じます。
料理を語らんとする者が「能書を語る」というのも変じゃないかとお考えになられる方もありましょうが、私の仕事といいますと、料理の研究よりも、書が一番古いのであります。書についての私の経歴というようなものを、烏滸がましいのでありますが、一つの挿話としてお聞きをねがいたいのであります。
私は十五、六歳の頃、京都におりまして、独学的に書の研究をしきりにやっておったのでありました。その頃「一字書き」ということが京都で流行しまして、このテキストの型(五寸に七寸ぐらい)の紙に一杯に一字を書いて競技に応じていたのであります。これは全く先生なしに独習をやっていたのでありました。この一字書きの競技は何千何万となく募集をするものでありまして、万の中から百の優書が選ばれ、その百の中から十の秀逸が選ばれ、十の外に天地人が選ばれて等級がつくのであります。