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かんしょうりょくなくしてしゅうじするなかれ

魯山人書論

北大路 魯山人

線上閱讀北大路 魯山人《魯山人書論(かんしょうりょくなくしてしゅうじするなかれ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 84,639 字 · 175 頁

青空文庫

うかうかと他動的に陋習を追い、つまらぬ書蹟を大事に集めて喜んだような無理解もなくなり、従って、書蹟の悪友、凡友は去り、益友、善友のみが座右を離れまい。ことばを換えてさらにいってみるならば、要は書の中身が大切な問題となるのである。例えば美しい蛤貝があるとする。蜆貝があるとする。中身を考えずに、これは立派な蛤だ、蜆だと貝の表面だけに惚れて見て能事了ったと安心してはならないのである。中身が充実して美味なのもあれば、中身の痩せて食するに足りないというのもある。死んでいるのもあれば、腐敗ってしまっているのもある。ゆえに書を学ぶ者にとっては、貝の表面だけである書家の書であってはならないのである。書家の書は、中身のまずい見かけだけの貝のようなものであるからだ。なにがなんでも美味な中身あっての貝であり、うまい味を持つ書であることが問題だということを、くれぐれも心に銘じなければならぬ。古人の書を観るにしても、今人の書を吟味するにしても、中身如何とひたすら中身ばかりを気にして、検討の眼を惜しまぬがよいというわけである。かくして、自分のものする書も、自然中身本位となり、いきおい中身を磨き通しに磨いておらないと、良心が許してくれないというところまで押し進むものである。