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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 頁

青空文庫

すると、お米は笑ったあとで、

「まあ……」

と、大袈裟に目をみはりながら後ずさって、

「血がついておりますよ、先生」

「どこに?」

と手をあげると一緒に、かれも、

「やあ、これは」と、にわかに狼狽しながら、自分の袖や裾を撫で廻した。

「どうなすったのでございます」

「なアに。実はゆうべ、運座の帰りに手当てをしてやった男の血だよ、どうして斬られたのか、下手人も分らないが、万吉といって、少し知った男だから、捨ててもおけず、とうとう徹夜でさ、朝帰りという次第。もっとも、血は赤いから、色っぽくないことはないが、どうも、今朝ははなはだ眠い」

と、衣服を着かえて、手洗を使い始めた。

お米はその間に、ひとりで何か考えていたが、

「先生、その万吉というのは、もしやあの天満にいた、目明しじゃありませんか」

「よくご存じだね」

「あ、じゃ、やっぱりその人なんですか――その万吉さんが斬り殺されたんですか」

「なに、命はわしがうけあってきたよ。しかし、かすり傷じゃないから、ちょっとやそっとでは癒らない」

聞いているうちに、お米はソワソワとして、容態を話すことや、薬のことも忘れたように、せかせかして、