輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 頁

青空文庫

その三人とすれ違った覆面の侍があった。ふりかえったが、やり過ごして、また、

「はてな、今の奴? ……」というふうに、農人橋の上に立って、腕ぐみをしていた。

するとたちまち、その覆面の侍へ、同じような目ばかり光らした者がちらちらと四、五人ばかり寄ってきて、

「おい、何を考えている?」

と、肩を叩いた。

「見つけた!」

腕ぐみを解いた侍は、ほかの者を突きのけるように走りだして、一散に、問屋町の裏通りへ隠れて行った。

それが誰からともなく伝わると、そこらの路次の蔭、天水桶の蔭、土蔵の横などから、こうもりのような黒い姿がうごめきだして、しきりに四国屋の裏や寮の辺へかけて、ひそかな跳躍をしはじめた。

りりりん……と潜り門の鈴が揺すれる。

後をがらがらと閉めて、

「さ、桜間さん、どうぞこちらへ」

と、新吉の声が招く。

船板塀の中はシットリと打ち水に濡れていた。

燈籠の灯が、暗きに過ぎず明るきに過ぎないほどに、植込みの色を浮かしている。

「変ったでございましょう」

そんなことを言いはじめた。ひとり呑みこみに新吉が。

「この庭もね、すっかり手入れをいたしましたから。はい、近頃ではお家様も、阿波よりは大阪のほうが住居みたいになってしまってな。