輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁

青空文庫

それゆえ、詮じ詰めてゆくと、結局鐘の鋳造成分を否定するか、それとも、楽音を虚空から掴み上げた、精霊的な存在があったのではないか――と云うような、極端な結論に行き着いてしまうのも、やむを得ないのであった。こうして、倍音の神秘がいよいよ確定されてしまうと、法水には痛々しい疲労の色が現われ、もはや口を聴く気力さえ尽き果てたように思われた。しかし、考えようによっては、より以上の怪態と思われる伸子の失神に、もう一度神経を酷使せねばならぬ義務が残っていた。その頃はもう日没が迫っていて、壮大な結構は幽暗の中に没し去り、わずかに円華窓から入って来る微かな光のみが、冷たい空気の中で陰々と揺めいていた。その中で、時折翼のような影が過って行くけれども、たぶん大鴉の群が、円華窓の外を掠めて、尖塔の振鐘の上に戻って行くからであろう。

ところで伸子の状態についても、細叙の必要があると思う。伸子は丸形の廻転椅子に腰だけを残して、そこから下はやや左向きになり、上半身はそれと反対に、幾分右方に傾いていて、ガクリと背後にのけ反っている。その倒辺三角形に似た形を見ても、彼女は演奏中に、その姿のままで後方へ倒れたものであることは明らかだった。