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こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁

青空文庫

、ウッズの「王家の遺伝」をも借用したい旨を述べて、図書室を出た。そして、鍵が手に入ったのを機に、続いて薬物室を調べることになった。

次の薬物室は階上の裏庭側にあって、かつては算哲の実験室に当てられるはずだった、空室を間に挾み、右手に、神意審問会が行われた室と続いていた。しかし、そこには薬室特有の浸透的な異臭が漂っているのみで、そこの床には、証明しようのないスリッパの跡が縦横に印され、それ以外には、袖摺れ一つ残されていなかった。したがって、彼等に残された仕事というのは、十にあまる薬品棚の列と薬筐とを調べて、薬瓶の動かされた跡と、内部の減量を見究めるにすぎなかった。けれども、一方五分あまりも積み重なっている埃の層が、かえって、その調査を容易に進行させてくれた。最初眼に止ったのは、壜栓の外れた青酸加里であった。

「うんよし、では、その次……」と法水は一々書き止めていったが、続けて挙げられた三つの薬名を聴くと、彼は異様に眼を瞬き、懐疑的な色を泛べた。何故なら、硫酸マグネシウムに沃度フォルムと抱水クロラールは、それぞれに、きわめてありふれた普通薬ではないか。