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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁
「だいたいヒステリーの発作中には、モルヒネに対する抗毒性が亢進するものだよ。しかし、どうあっても皮膚の湿潤だけは免れんことなんだがね」
ここで乙骨医師が、モルヒネを例に亢進神経の鎮静云々を持ち出したのは、勿論法水に対する諷刺ではあるけれども、それは、折ふし人間の思惟限界を越えようとする、彼の空想に向けられていたのだ。と云うのは、そのヒステリー性反覆睡眠という病的精神現象が、実に稀病中の稀病であって、日本でも明治二十九年八月福来博士の発表が最初の文献である。現に、好んで寺院や病的心理を扱う小城魚太郎(最近出現した探偵小説家)の短篇中にも――殺人を犯そうとする一人の病監医員が、もともと一労働者にすぎないその患者に、医学的な術語を聴かせ、それを後刻の発作中に喋らせて、自分自身の不在証明に利用する――という作品もあるとおりで、自己催眠的な発作が起ると、自分が行いかつ聴いたうちの最も新しい部分を、それと寸分違わぬまでに再演しかつ喋るのであるから、別名としてのヒステリー性無暗示後催眠現象と呼ぶ方が、かえって、この現象の実体に相応するように思われるのである。それであるからして乙骨医師が、内心法水の鋭敏な感覚に亢奮を感じながらも、表面痛烈な皮肉をもって異議を唱えたのも無理ではなかった。