輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁
「ところが支倉君、この出来事には、薬量が根本から問題ではないのだ。ただ眠らせてこの室に抛り込んでおきさえすれば、それが論なしに致死量になってしまうのだよ。多量の抱水クロラールには、いちじるしく体温を低下させる性能があるのだ。それにこの室は、石と金属とで囲まれていて、非常に温度が低い。だから、窓を開いて外気を入れさえすれば、この室の気温が、ちょうど凍死に恰好な条件になってしまうじゃないか。ところが犯人は、そういう最も安全な方法を択ばないばかりでなく、現在見るとおり木乃伊みたいに包んでいて、不可解な防温手段を施しているんだよ」と相変らず法水は、奇矯をきわめる謎の中から、さらにまた異様な疑問を摘出するのだった。
ところが、はたして彼の言のごとく、窓の掛金には石筍のような錆がこびり付いていて、しかも、清掃されている室内には、些細の痕跡すら留められていない。法水は、運び出されてゆく津多子夫人を凝然と見送りながら、なにかしら慄然としたような顔になって云った。
「たぶん明日一日おけば、充分訊問に耐えられるだろうとは思うが、しかしこの一事だけは、どうあっても記憶しておかなけりゃならん。