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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁
なるほど、その腸丸と遺物筐とが、童子人形の右腕になっているのですか」と低く夢見るような声で呟いたが、突然調子を変えて、真斎に訊ねた。
「ところで田郷さん、見掛けたところ埃がありませんけど、この時計室はいつ頃掃除したのです?」
「ちょうど昨日でした。一週に一回することになっておりますので」
そうして、古代時計室を出ると、真斎は何より先に、彼を無惨な敗北に突き落したところの疑念を解かねばならなかった。法水は、真斎の問いに味のない微笑を泛べて、
「そうすると貴方は、デイやグラハムの黒鏡魔法を御存じでしょうか」とひとまず念を押してから、烟を吐いて語りはじめた。
「先刻も云ったとおり、その解語と云うのが、階段の両裾にあった二基の中世甲冑武者なんです。勿論装飾用のもので、たいした重量ではありませんが、あれは、御承知のように、ちょうど七時前後――折柄傭人達の食事時間を狙って、一足飛びに階段廊まで飛び上ってしまったのです。それに、双方とも長い旌旗を持っているのですが、僕は最初、それを旌旗の入れ違いから推断して、犯人の殺人宣言と解釈したのです。しかし、ちょっと神経に触れたものがあったので、ひとまず二旒の旌旗と、その後方にあるガブリエル・マックスの『腑分図』