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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁
つまり、大階段の裏――の解答と云うのは、この隣室との境にある壁のことなんだよ」
しかし、その壁面にはどこを探っても、隠し扉が設けてあるような手掛りはなかった。そこでやむなく、その一部を破壊することになった。熊城は最初音響を確かめてから、それらしい部分に手斧を振って、羽目に叩きつけると、はたしてそこからは、無数の絃が鳴り騒ぐような音が起った。そして、木片が砕け飛び、その一枚を手斧とともに引くと、羽目の蔭からは冷えびえとした空気が流れ出てくる――そこは、二つの壁面に挾まれた空洞だった。その瞬間、悪鬼の秘密な通路が闇の中から掴み取られそうな気がして、三人の唾を嚥む音が合したように聴えた。打ち下す音とともに、梯状琴の絃の音が、狂った鳥のような凄惨な響を交える。それは、周囲の羽目を、熊城が破壊しはじめたからだった。ところが、やがてその一劃から埃まみれになって抜け出してくると、彼は激しい呼吸の中途で大きな溜息を吐き、法水に一冊の書物を手渡した。そして、グッタリとした弱々しい声で云った。
「何もない――隠し扉も秘密階段も揚蓋もないんだ。たったこの一冊だけが収穫だったのだよ。