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こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁

青空文庫

ジイジイっと喘鳴のようなかすれた音を立てて燃えはじめると、拡がってゆく焔の中で、薄気味悪い蒼鉛色をしたものがメラメラと蠢きはじめるのです。それが、一つ二つと点されてゆくうちに、私達はまったく周囲の識別を失ってしまい、スウッと宙へ浮き上って行くような気持になりました。ところが、全部を点し終った時に――あの窒息せんばかりの息苦しい瞬間でした。その時ダンネベルグ様は物凄い形相で前方を睨んで、なんという怖ろしい言葉を叫んだことでしょう。あの方の眼に疑いもなく映ったものがございました」

「何がです?」

「ああ算哲――と叫んだのです。と思うと、バタリとその場へ」

「なに、算哲ですって※(感嘆符疑問符、1-8-78)」と法水は、一度は蒼くなったけれども、「だが、その諷刺はあまりに劇的ですね。他の六人の中から邪悪の存在を発見しようとして、かえって自分自身が倒されるなんて。とにかく栄光の手を、私の手でもう一度点してみましょう。そうしたら、何が算哲博士を……」と彼の本領に返って冷たく云い放った。

「そうすれば、その六人の者が、犬のごとく己れの吐きたるものに帰り来る――とでもお考えなのですか」