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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
Read 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 151,280 characters · 301 screens
するとその下から、今までのしかつめらしい博士とは似てもつかぬ、のっぺりとした無髯の悪相が現れて来た。
「オオ、そのお方なら存じて居ります。おなくなりになった御主人様の所へよく訪ねていらしった方でございます。お名前は存じませんが、御主人様と二人づれで、時々どこかへお出かけになった方でございますよ」
お里婆さんが、やっきとなって喋べり立てる。
「つまり、いつか君が云っていた、北園竜子の情夫というのが、この男なんだね」
中村警部が横合から質問すると、老婆は肯いて、
「エエ、マアそういう御関係のお方と、お察し申していたのでございますよ」
と答えながら、口に手を当てて、羞にかみ笑いを隠すような仕草をした。
「宗像君、これでも君はまだ弁明をする勇気があるかね。若しこの二人の証人で足りなければ、僕の方には外にも証人があるんだよ。例えば山梨県の例の一軒家の留守番をしていた老夫婦だ。川手氏の話で、あの老婆の方が君達兄妹の昔の乳母だったことも分っている。その老夫婦は僕の部下が今捜索しているのだが、所在をつきとめて裁判所に引渡す日も遠くはあるまい。
それから、君が川手氏に地下室でお芝居を見せた時の役者連中だ。