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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
Read 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 151,280 characters · 301 screens
悪魔の最期
「なぜ捉えないというのですか」
「そうだよ」
「それは、もう捉えてしまったからです」
悪魔の最期
明智の意外な言葉に、一座は俄に色めき立った。刑事部長も、捜査課長も、中村警部も、思わず椅子から腰を浮かして、口々に何か云いながら、明智につめよる気配を見せた。
宗像博士の血走った両眼は、異様にギラギラと輝きはじめた。
「犯人を捉えたって? オイオイ、冗談はよしたまえ。一体いつどこで捉えたというのだ」
「犯人はいつもそこにいたのです」
明智は平然として答えた。
「お化け大会の中でも、川手氏が山梨県の山中に身を隠す途中でも、北園竜子が一命を失った刹那も、犯人は常にそこにいたと同じように、今も犯人はここにいるのです。犯人は全く気附かれぬ保護色に包まれて、我々の目の前に隠れているのです」
それを聞くと、刑事部長はもう打捨てては置けぬという面持で、鋭く質問した。
「明智君、君は何を云っているのです。ここには我々五人の外に誰もいないじゃありませんか。それとも、我々の中に犯人がいるとでもいうのですか」
「そうです。我々の中に犯人がいるのです」
「エ、エ、それは一体誰です」
「この事件での数々の不可能事が起った時、いつもその現場に居合わせた人物です。