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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Read 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 262,120 characters · 516 screens
「とうとう清澄のお寺へ預けられてしまったというこってす」
「そうですか、それは惜しいことをしましたね」
心から力を落したようなお角の言いぶりでしたから、
「おかみさん、あなたもあの子を御存じなんでございますか」
「エエ、ちっとばかり……」
「左様ですか」
炭問屋の主人が改めてお角の面を見直しました。上総房州あたりへは初めてであると言った人が、芳浜の茂太郎なるものを知っているということが、どうやら腑に落ちなかったもののようです。
「その清澄のお寺とやらまでは、あれからまだよほどの道のりがあるんでございましょうか」
「そうですよ、遠いといったところが同じ房州のうちですから、道程にしては知れたものですが、なにしろ、内と外になっておりますからな、道はちっとばかりおっくうなんでございますな、上総分で天神山というのへおいでなさると、あれから亀山領の方へかけて間道がありますんで、その間道をおいでになるのがよろしかろうと思いますよ。あの道は、昔、日蓮様なども清澄から鎌倉へおいでなさる時は、しょっちゅうお通りになった道だそうですから、それをお通りなさるのが芳浜からは順でございましょうよ。