Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Read 宮本武蔵 (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 185,809 characters · 369 screens
二
二
これが、何年ぶりかで会った叔母の、血につながる者へのことばか。
武蔵は、他人以上の冷たさを、心へ浴びた。亡母の次の人みたいに甘えて来た世間知らずが、はっと、悔いられるとともに、思わずいった。
「叔母御、それはまた、なぜですか。帰れとなら、帰りもしましょうが。道ばたで会った途端に、帰れとは、解せぬ仰せ。私に何かお叱りがあるならば、打ちつけにいって下さい」
そう突っ込まれると叔母は困ったように、
「では、ちょっと上がって、叔父様に会って行きゃれ。ただ……叔父様は、あのようなおひとゆえ、久しぶりに訪ねて来たそなたがまた、落胆しても折角と思うての老婆心じゃ。気を悪うしやんな」
そういわれると、武蔵はいくらか慰められ、叔母について、家へ入った。
ふすま越しに、やがて叔父の松尾要人の声がする。喘息病みらしい咳声と、感激のない呟きを聞くと、武蔵はまた、ここの家庭の持つ冷たい壁を感じて、隣の部屋でもじもじしていた。
「なに、無二斎の息子の武蔵が来たと? ……やれ、到頭来おッたか。……して、どうした、なんじゃ、上がっておると。なぜわしに黙って上へ通しなすったか、ふつつか者め」