Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
Read 宮本武蔵 (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 185,809 characters · 369 screens
四
「はあ、大坂へ行きます」
「ご家族は大坂にお住まいかの」
「いえ、べつに」
「では阿波のご住人か」
「そうでもありません」
膠のない若衆である。そういってまた他念なく、小猿の毛を指で掻き分けているのであった。
四
ちょっと話のつぎ穂がない。
藤次は、黙ったが、また、
「よいお刀だな」
と、こんどは彼の背にある大太刀を賞めた。すると美少年は、
「はあ、家に伝来のもので」
急に藤次のほうへ膝を向け、賞められたのを欣しそうに、
「これは陣太刀に出来ていますから、大坂の良い刀師へあずけ、差し料に拵えを直そうと思っているのです」
「差し料には、ちと長すぎるようだが」
「されば、三尺です」
「長剣だな」
「これくらいなものが差せなければ――」
自信がある――というように美少年は笑靨をうごかす。
「それは差せないことはない――三尺が四尺でも。――けれども実際に用うる場合、これが自由にあつかえたら偉いが」
と、藤次は、美少年の衒気をたしなめるようにいう。
「大太刀を、かんぬきに横たえて、りゅうとして歩くのは、見た眼は伊達でよいが、そういう人物にかぎって、逃げる時には、刀を肩へかつぐやつだ。