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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Read 平の将門 (たいらのまさかど) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 232,193 characters · 463 screens
陸の酒
もちろん、彼の下には、八坂時代の手下が前より多く集まっていた。そして検非違使をテコずらせたり、根のない風説を撒きちらしたり、公卿堂上を動揺させては――また当分、市や娼家の雑民街へ、泡つぶのように、消え込むのである。
夏の末頃。
不死人は、海の仲間から、連絡をうけとった。
(いつもの会合を、江口でやるから、江口まで出て来てくれ)
という純友の手紙である。
そこへ出向く日、不死人は手下の穴彦、保許根、禿鷹などへかたくいいつけた。
「――ぬかりはあるまいが、例の右馬允(貞盛)の門の見張りだけは、怠るなよ。それに弟の繁盛の方もだ。このところ、奴らと官辺のあいだに、何やら往来が多いようだし」
不死人は、穴彦に送られて、淀から小舟で、摂津へ下って行った。
江口の一楼には、もう大勢の友人が来ていた。――藤原純友、小野氏彦、津時成、紀秋茂、大伴曾良、伊予道雅などといった顔ぶれだ。
公卿の果てや、地方吏のくずれである。
そして、南海の任地で、海賊に変じ、数年前から、公然と、瀬戸内の海を、わがもの顔に横行している連中である。
それも初めは、伊予の日振島を中心に、ある限界を出なかったが、海賊の経験が、訓練を経てくる一方、官辺の無力さがだんだん分ってきたので、近頃は、四国の北東から、淡路、摂津の近海まで、悠々と横行したり、そして時に