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かくだいされゆくこくどうぜんせん
日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)
広海 大治
Read 日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二) (かくだいされゆくこくどうぜんせん) by 広海 大治 (ひろうみだいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,128 characters · 10 screens
水漬けされた仲間の死骸
豊原と真岡の市街地の空に煙火打ち挙げ
鉄道事務所は日章旗で飾られる
鉄道開通だ 開通祝賀会だ
未開の宝庫が開かれた
豪商 請負者 利権政治家 庁と庁鉄の高官達が新線の車窓に乾杯する頃
土塊のように投り出された章魚人夫
歯車一枚二枚で宗谷海峡は渡れない
サガレンの慌しい秋が去って
季節の風はカムチャッカから
シベリヤから雪と氷をともなった
今更がつがつと残飯を貰い
ぼろマントに逃げ去る体温を止めなければならないのか
何故この積雪の上に循環不順の心臓を破裂させ
人間の脱穀をぶち捨てて仕舞わないのだ
雪は陸と海を覆い
昆布一切れも見えぬ海端
ゴメと烏はひらひらと流氷の上を飛び交い
ぬくもりのない光を反射する太陽
赤ただれた雪盲はまぶしく
水腫れた足を曳ずる
流氷の張りつめた海原の雪に
俺はガンジキの足跡残す
はるかな流氷の下をひたひたと洗う潮
青空を流れゆく白雲
振り返る陸は低く連り
点接する白樺の裸木
豊真線の雪をけって
俺達の俺達の鉄路に
汽車はひえびえと警笛をひびかす
氷塊の間隙に水音たてるのだ
病み疲れた肉体
ゆらゆらと漂流している俺の肉体
氷下魚は死屍に群り