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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Read 猟奇の果 (りょうきのはて) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 134,971 characters · 270 screens
刑事部長さんもいたよ」
「じゃ、一つ巡査君に、このトランクを運ぶ手伝いを頼んでくれ給え。総監室へ持込んで貰い度いのだ」
「心得た。オイ君、一寸この車夫の御手伝いをしてやってくれ給え」波越氏は、ホールに居合わせた二人の警官に命じて置いて「残念だが、僕は行啓の御警衛のことで、急用があるんだ。総監室で詳しく話して置いてくれ給え。間に合ったら、僕も話を聞きに帰って来るから」
波越警部と別れた明智小五郎は、大トランクを追って、総監室へ上って行った。
「我々は君を探していた所だったよ。明智君」
総監は、彼の顔を見ると、磊落に云った。
「例の白蝙蝠事件が、一向にはかどらないのでね。だが、妙な物を持込んで来たじゃないか。そのトランクは何だね」
「何か御用談中ではなかったのですか」
明智が、総監と向い合って腰かけている刑事部長を見ながら尋ねた。
「イヤ、我々の話は今すんだ所だ」
「それでは、甚だ恐れ入りますが、総監お一人にお話し致したいことがありますので、暫く……」
「オイオイ、明智君、ここにいるのは、君も知っている刑事部長さんだよ。失礼なことを云っては困るね」
「ですが、実は非常に重大な事柄だものですから、総監にお話し申上げるさえ、躊躇する程なんです。