Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

Read 猟奇の果 (りょうきのはて) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 134,971 characters · 270 screens

Aozora Bunko

恐ろしき父

大実業家の自負心も、愛嬢の生命には換えられぬのだ。

その夜、我が明智小五郎は、富豪の懇篤なる招きを受けて、宮崎邸の門をくぐった。

つまり宮崎氏は怪賊の挑戦に応じたのである。

恐ろしき父

文面の「明日正午」という、その正午を過ぎると、だが、常右衛門氏も流石に不気味でたまらなかった。夫人や当の令嬢には、明らさまに話した訳ではないが、邸内の空気や、常右衛門氏のそぶりで、彼女等にも大体の察しはついていた。

一時間、二時間と時は過ぎて行ったが、主人夫妻召使などの、心配や恐れは、増すばかりであった。何時? 誰が? 何処から? 凡てが不明なのだ。掴み所のない敵。どこにどう防備を施したらいいのか、まるで見当もつかぬ。それが人々を実際以上に怖がらせた。

午後三時、令嬢雪江さんの私室には、雪江さんを中にして、真面目な二人の護衛兵、父常右衛門氏と、探偵明智小五郎とが雑談を交わしていた。病身の母夫人は昨夜一睡もしなかった疲れの為に、別室に引取っていた。

雪江は妙齢十九歳、宮崎氏の一粒種だ。どちらかと云うとお父さん子で、厳格な程作法正しい母夫人には、遠慮勝ちだが、お父さんには平気で甘える。