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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Read 猟奇の果 (りょうきのはて) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 134,971 characters · 270 screens
幽霊男
わしが娘の下手人だなんて、途方もない暴言を吐くのだ。一刻も邸内へ置く訳には行かぬ」
宮崎氏はいとも冷静に云い放った。
「そのお手数には及びません。僕はこれでおいとまします」
明智は一礼してドアの外に出た。彼はただ一人ぼっちになりたかった。そして、極度に混乱した思考力を落ちつけ、この一連の犯罪事件を、もう一度隅から隅まで吟味して見たいと思った。あとはやがて到着する警察の人々に任せて置けばよい。彼はそれどころではないのだ。この化物みたいな、恐ろしい不可思議力の本体をつきとめること、彼の頭はただその一事で一杯になっていたのだ。
幽霊男
あり得べからざる事柄が、易々と行われた。
先夜幽霊男の一味が、宮崎邸から人間程の大きさの荷物を担ぎ出した。しかも、邸内には何一品紛失したものがない。あり得べからざる事だ。
唯一の出入口であるドアの外には、信用出来る書生が張番をしていた。その部屋の中で令嬢雪江が惨殺された。彼女の身辺に近づき得たたった一人の人物は、外ならぬ彼女の実の父親である。父親が娘を殺す。他に特別の理由が発見されぬ限り、あり得べからざることだ。
この二つの不可能事が可能である為には、そこに何かしら途方もない秘密が伏在しなければならぬ。