Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Read 私本太平記(七) (しほんたいへいき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 330,262 characters · 662 screens
「いやいや悪しゅうとれば物事はいかようにも悪しゅうとれる。つたえ聞くに、尊氏は先の月、違勅の畏れをいって諸政を弟の直義に託し、身は謹慎を表するため、浄光明寺に入ったままふかくつつしんでいると申す。――そして以後は、元弘における戦死者の霊をなぐさめんがため、高時の旧館のあとに、円頓宝戒寺の建立をするなど、ひたすら恭順の意を表しているとあるが」
「それよ、そこが尊氏の食えぬところとお気がつかぬか。――つたえ聞くところなら、這奴は一族の斯波家長なるものを、私に、奥州管領となし、ひそかに奥州へ下向せしめたと聞いておる。――これなども、事をあぐる日、奥州東北の地を、同時にわが麾下に取り込まんとする謀意でなくてなんであろうぞ」
清忠は一言もなかった。
そのうえにも、また、ちょうどこのころ。大塔ノ宮の侍女南ノ御方が、宮のおかたみなどをたずさえて、病後のやつれもまだ癒えぬ身でやっと都へたどりついてきた。――果然、これによって、宮の死は、足利家の一武士の兇刃によってなされたことが明白になった。――後醍醐もこれのみは、よもやとしておられただけに、南ノ方からつぶさな当夜の惨状をおききとりあるや、さすが御父子である。