Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Read 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 261,216 characters · 521 screens

Aozora Bunko

それは、藩のうちでも屈指な剣道家ばかりで、中にただひとり、筑後柳川の藩士がいた。

柳剛流をよく使うことで、斯道のものに相当な敬意を払われている湧井道太郎――四、五日まえに、柳川の使者についてきて徳島城にいあわせた。

周馬のことを城内へ報じるため、中のひとりを徳島へ帰して、三位卿まッ先に急ぎだした。

お十夜はその者の馬を借り、道太郎や他の人々とあとに続く――だが、騎馬にかけては三位卿、めったに余人の追従をゆるさない。

またたくまに岡崎の船関。

「すわ!」

乗りつけてみると案の定、水はここの堤をきったか、関の警鼓が陰々と鳴っていた。

「さては!」

と、馬をすてるが早いか、ばらばらと一同、番所の黒門へかかる。

柵門に常備の六尺がいないので、駆けこんで、波うち際の桟橋に立ってみると、湖水のような土佐泊の内海、どッぷりと暗い水上いったいに、御用提灯をふる無数のかんこ船とかんどり船。

半刻ほど前。

見張のきびしい岡崎の船関をやぶって、対岸水浦へ、矢のように逃げた小舟がある。

関所やぶり!

番所の警板が急をつげると、たちまち無数のかんこ船、捕手のかざす御用提灯の火を盛って、蛍をブチまけたように海上へ散らかった。