Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

かんかんむしはうたう

かんかん虫は唄う

吉川 英治

Read かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 91,006 characters · 182 screens

Aozora Bunko

と、野太い声で呼びあった。

紺ガスリの羽織の長い紐を、首へ引っかけているのもあった。バプテスト神学校の制服もあった。西洋乞食のようなセラパンもあった。それは雑多な若者の混色ではあったが、ゴロ歯のさつま下駄と、桜の仕込み杖とによって統一された争闘的団体の色があった。

「愚連隊だな、貴様たちは」

そう言って、馬車の上から睥睨した巡査も、巨浪の意志が、岩の上の物を持って去るように、苦もなく、地上へひき下ろされて、いきなり、ドタ靴とごろ歯とで、踏ンづけられていた。

「愚連隊だがどうした」

「トム公を拘引するなら、吾々を同伴しろ。弱い者いじめをするな」

「民権蹂躪じゃ」

「かまわん、馬車をやれ」

「やれ、やれ、どこまでも!」

ひとりは、占領した馭者台に、大股をひろげて、鞭を振った。七、八人は、中へはいって、巡査と格闘した。三、四人は、馬車の外へ蛙の目刺みたいにブラ下がった。

馬車の中でも、激しい格闘の物音がくりかえされている。馭者台のそばに立ったマドロスは、警鈴をつかんで、大きく振りながら、深夜の異人館町を驚かしつつ奔馳してゆく。

その間に、反抗力のなくなった警官のからだが、一町ごとに、捨てられて行った。