Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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かんかんむしはうたう

かんかん虫は唄う

吉川 英治

Read かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 91,006 characters · 182 screens

Aozora Bunko

豆菊

「たしかに横浜においでになるなら、きっと探してみますけれど」

「あまり名誉なことじゃないし、新聞にでもでると、折角、昔の生涯をすてている当人が、また新しく社会から鞭を打たれる……。で、これや、おまえが適任じゃと考えて依頼するんじゃ」

「よろしゅうございます」

「女傑と定評のある千歳の女将が、うんと言ってくれたので、わしもこれで安心した」

「御前様は、おだてるのが、お上手でいらっしゃいます」

「分ったら、すぐ知らせてくれい」

「どういたしましょう、それだけのご用で、御前様がおいでになるわけには参りませんし」

「おまえが、東京へ伴れて来てくれぬか。――わしの邸へ直接に」

「その方が、かえって、世間にわからないだろうと存じます」

「すべて、女将の才覚にまかそう。――ちょうど時間がきたな、懇話会へ行かなければならん。馬車を命ってくれ」

高瀬理平は、折角の貴賓を、意味なく、うやうやしく、送り出さねばならなかった。

豆菊

「みんな! 何を買って上げようネ」

本牧から横浜の市街へ向って走る馬車の中で、女将は、はしゃいでいた。

七人の雛妓ばかりが、二台の馬車につまっていた。馬車がゆれるたびに、雛妓たちはキャッキャと笑い転けた。