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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens
其処はW駅の西端に寄って、下り本線と下り一番線との線路に狭まれて大きな赤黒い鉄製の給水タンクが立っている薄暗い路面であるが、被害者の屍体は、給水タンクと下り一番線との間の、四呎程の幅狭い処に、数名の警官や駅員達に見守られながら発見当時のままで置かれてあった。
被害者は菜ッ葉服を着た毬栗頭の大男で、両脚を少し膝を折って大の字に開き、右掌を固く握り締め、左掌で地面を掻きむしる様にして、線路と平行に、薄く雪の積った地面の上に俯伏に倒れていた。真白な雪の肌に黒血のにじんだその頭部の近くには、顎紐の千切れた従業員の正帽がひとつ、無雑作に転っている――。
警察医は、早速屍体の側へ屈み込むと、私達を上眼で招いた。
「――温度の関係で、硬直は割に早く来ておりますが、これで死後三四十分しか経過していません。勿論他殺です。死因は後頭部の打撲傷に依る脳震盪で、御覧の通り傷口は、脊髄に垂直に横に細く開いた挫傷で、少量の出血をしております。加害者は、この傷口やそれから後頭部の下部の骨折から見て、幅約〇・八糎、長さ約五糎の遊離端を持つ鈍器――例えば、先の開いた灰掻棒みたいなもので、背後から力まかせにぶん殴ったものですな」