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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Read とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) by 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 186,729 characters · 371 screens
「他に損傷はないですか?」喬介が訊いた。
「ええ、ありません。もっとも、顔面、掌その他に、極めて軽微な表皮剥脱乃至皮下出血がありますが、死因とは無関係です」
喬介は警察医と向い合って一層近く屍体に寄添うと、懐中電燈の光を差付ける様にして、後頭部の致命傷を覗き込んだ。が、間もなく傷口を取巻く頭髪の生際を指差しながら、医師へ言った。
「白い粉みたいなものが少しばかり着いていますね。何でしょう? 砂ですか?」
「そうです。普通地面のありふれた砂ですよ。多分兇器に附着していたものでしょう」
「成程。でも、一応調べて見たいものですね」そして駅員達の方へ振向いて、「顕微鏡はありませんか? 五百倍以上のものだと一層結構ですがね――」
すると、私の横に立っていた肥っちょのチョビ髭を生したW駅の助役が、傍らの駅手に、医務室の顕微鏡を持って来いと命じた。
喬介は、それから、固く握り締められたままの被害者の右掌や、少し膝を折って大の字に拡げられた両の脚などを、時折首を傾げながら調べていたが、やがて立上ると、今しがた部下の警部補と何か打合せを終えた内木司法主任に向って声を掛けた。