Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

Read 三国志(五) (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N1. Tap a word for the meaning.

N1 · advanced · modern kanji and kana · 325,249 characters · 653 screens

Aozora Bunko

三

「よろしい。つくりましょう」

「十日のうちにできますか」

「十日?」

「無理は無理であろうが」

「いや、あすの変も知れぬ戦いの中。十日などと長い期間をおいては、その間に、どんなことが突発しようも知れますまい。十万の矢は、三日の間に、必ずつくり上げましょう」

「えっ、三日のうちに」

「そうです」

「陣中に戯言なし。よもお戯れではあるまいな」

「何でかかることに、戯れをいいましょう」

三

散会した後の人なき所で、魯粛はそっと周瑜へいった。

「どうもおかしい。孔明のきょうの言葉は、肚にもない詐りではないでしょうか」

「諸人の前で、好んで不信の言を吐くはずはあるまい」

「でも、三日の間に、十万の矢がつくれるわけはありません」

「あまりに自分の才覚を誇り過ぎて、ついあんな大言を吐いてしまったのだろう。自ら生命を呉へ送るものだ」

「思うに、夏口へ逃げ帰るつもりではないでしょうか」

「いかに生命が惜しくても、孔明たる者が、笑いをのこして、醜い逃げ隠れもなるまいが……しかし念のためだ、孔明の船へ行って、またそれとなく彼の気色をうかがって見給え」

夜に入ったので、魯粛は、あくる朝、早目に起き出て、孔明の船を訪ねた。