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おうべいかっこく せいきょうにっき
井上円了・世界旅行記
井上 円了
Read 井上円了・世界旅行記 (おうべいかっこく せいきょうにっき) by 井上 円了 (いのうええんりょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 260,015 characters · 519 screens
海外においての観劇は、これを第三回とす。市川氏にはさきにインド・ボンベイにおいてはじめて相知り、ここに九年を隔てて、さらに豪州において再会を得たるは奇遇というべし。一詩を賦してその歓を述ぶ。
一別以来已十霜、西天夢跡去茫茫、濠陽今日再相会、依レ旧喜君心自芳。
(ひとたび別れて以来、すでに十年、印度の空に描いた夢のあともはるかなものとなった。豪州の東で今日再会し、かつての君の心が芳ばしくそのままであることを喜ぶ。)
別にシドニー客中所感の小詩一首あり。
看レ花時去レ国、五月到二濠南一、春夢猶如レ昨、客庭秋已酣。
(花見の時節に故国を去り、五月には豪州の南部に至った。春の夜の夢は昨日のように思いおこされるが、いま旅宿の庭は秋もたけなわである。)
六日、また快晴。早朝、歩を市街に散ずるに、救世軍の一行(みな婦人)、各街角に銭函を携えて佇立し、来往の人に一ペンスずつ恵与を請う。懐中の銅貨たちまち空となる。また、犬の背上に銭函を結び付け、無言の動物をして人に代わりて恵金を請わしむるもあり。これ新意匠なり。午前十一時出港。開南丸が旭旗を晴風に翻して湾内にあるを見る。