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おうべいかっこく せいきょうにっき
井上円了・世界旅行記
井上 円了
Read 井上円了・世界旅行記 (おうべいかっこく せいきょうにっき) by 井上 円了 (いのうええんりょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 260,015 characters · 519 screens
(阿南部の窮まる地を遊歴することに飽きたわけではないが、客船の予約によって欧州に向かう。残月の喜望峰上のあかつき、風冷ややかな大西洋上の秋、旭光は虹を作って雨の来たるを知り、星影が水にうつって波の静かなるを見る。二十日余り私の意をみたすものにも遇わず、ただ白雲について旅愁を思うのみである。)
赤道直下は短日にして、午後六時半には全く暗黒となる。昨今月なく夜暗きも、明星の光を水上に流すありさまは、月夜を欺かんとするほどなり。
二十八日、晴れ。北風涼をもたらし、朝夕秋冷を覚ゆ。午時、飛魚の群れをなして波上を飛行せるを見る。また長途の一興なり。当夕、合奏会あり。
二十九日、快晴。北風ようやく強く、海面白波をあぐ。満船の清風、人をして夏を忘れしむ。正午太陽を望むに、ほとんど天頂にあるがごとし。暮天一鉤の新月を望むところ、大いに雅趣あり。終日片雲なきも、水蒸気の空中に満つるありて、清朗ならず。春天朦朧の観あり。
船出二南球一入二北球一、潮風洗レ熱夏如レ秋一、暮天難レ禁吟情動、百尺檣頭月一鉤。
(船は南半球より北半球に入り、潮風は暑熱を洗い落として夏にもかかわらず秋の気候のようである。