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じしんなまず

地震なまず

武者 金吉

Read 地震なまず (じしんなまず) by 武者 金吉 (むしゃきんきち) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 98,954 characters · 195 screens

Aozora Bunko

なぜ日本に地震を表す言葉がなかったろうか

又は「地面」と言う意味で、「ナヰフル」で始めて「地面が揺れる」の意味になる。満洲族は土地を「ナ」と言い女真の言葉でも「ナ」、トゥングース族も大地を「ナ」、樺太のオロッコや黒竜江辺りの住民も土地を「ナ」と言う。朝鮮では「ナラ」と言うが、これは土地よりもむしろある面積をもつ国土又は領土の意味に使われる(奈良も多分この意味であろう)。

次に、「ヰ」は場所そのものの存在を明らかにする場合に使う言葉で、雲を雲井、田を田井、官を官居、本をもとゐと言う如く、「ヰ」をそえるのは日本の古語の一つの癖である。

新村博士の説は大体右の通りであるが、おそらくこれは動かしがたいものであろう。

ようやくのことで「ナヰ」の意義が明らかになり、「フル」という動詞がそえてある理由も判明した。上代においては、地震現象を表す名詞がなかったので、「ナヰフル」すなわち「地面が揺れる」と言う子どもじみた表現をしたのである。

なぜ日本に地震を表す言葉がなかったろうか

日本のような地震の多い国に、中国から「地震」と言う名詞が輸入されるまで、地震現象を表す言葉がなかったのはなぜだろう。思うに上代の日本人は日蝕、大風、雷電の如き自然現象ほどに、地震現象に対して関心を持たなかったのではあるまいか。