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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Read 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 349,705 characters · 678 screens
ならばまず第一、そちゃ、身共らが富士見ヶ原の興行になんでケチを入れたのじゃ」
「知らねえ、そんなことは知らねえ」
「知らねえというがあるか、我々りゅうりゅう工夫したものを、そちが要らざる密告で、興行中止となった無念残念――」
「そいつぁちっと迷惑だね、道庵は密告なんてケチなこたあしねえよ、こう見えても万事、強く、明るく、正しくやるのが道庵の流儀なんだからね」
「なおそれのみならず、身共先年御成街道を通行の節、三ぴんざむらいと蔭口申したこと、覚えがあろう」
「そんな覚えはありませんね」
「覚えなしとは卑怯な、身共たしかに承ったぞ、身共を三ぴんと申し、身共身内を折助呼ばわりすること、その仔細ちうはどうじゃ、返答のう致せ」
「こいつは驚いたね、御成街道の蔭口を、名古屋の枇杷島まで持ち越されたにゃ弱ったね」
「そちゃ、日頃我々を軽蔑しおる、悪い癖じゃによって、かねがねたしなめつかわそうと存じていたが、思わぬところで逢うたが幸い、いざ、三ぴんと折助とのいわれ、この場で承ろう、その返答承知致さんであれば、手は見せ申さぬぞ、ちゃ」
この時、後ろの紺看板が声を合わせて、
「そうだ、そうだ、金茶先生のおっしゃる通り、三ぴんと折助のいわれが、この場で聞きてえ、聞きてえ、道庵返事は、何と、何と――」