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みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

Read 宮本武蔵 (みやもとむさし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 185,809 characters · 369 screens

Aozora Bunko

(――ゆうべさる方にて習い申しそろ儘、名古屋の石曳きうた書きつけて参らせそろ)

とあって、その歌詞に

われが殿衆は

藤五郎さまじゃに

粟田口より

石また曳きゃる

エイサ、エイサ

コロサと曳きゃる

お声きくさえ

四肢がなゆる

まして添うたら

死のずよの

(――老も若きもうたい囃しそろ。これにてなくば、うき世なるまじく見え候)

労働歌が絃歌になり、蜂須賀侯のような大名までが、夜興の口誦みに戯れたものとみえる。

街に歌がさかんになりだしたのは、何といっても太閤の世盛りからだった。室町将軍の頃には、歌があっても廃頽的な室内のものだけだった。その頃は、児童がうたう歌まで、ひがみッぽい暗い歌が多かったが、太閤の世になってからは、歌も明るくなり大きくなり希望的になって、民衆はそれを汗をかきながら太陽の下でうたうことを甚だ好んだ。

関ヶ原の役の後、社会文化に家康色がだんだん濃くなってくると、歌もすこし変って来て、豪放さはうすくなった。太閤様のころには、民衆からひとりでに歌が湧いてきたが、大御所の世間になってからは、徳川家付の作者が作ったような歌が民衆へ提供されて来た。

「……ああ、苦しい」