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げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
Read 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 45,616 characters · 90 screens
「なるほど、それは妙案」
はなしはこれで一ぺんにきまってしまいました。
すぐさま老中の内意が、譜代親藩の旗本大名に通達され、天下の勇士術者がぞくぞくとして江戸にあつまったことはいうまでもありません。
そしてあくる月、日本橋の高札場に、たかだかと大一番のたて札がかかり、その文句がかかげられました。というのは、
天魔太郎にもの申す。その方高貴の落いんといつわり、妖術をもってご府内をさわがし、庶民をまどわすは天人ともに許さざる大悪業なり。
よってわれら三人、汝と武技法術をあらそい、すみやかに天下のため小患をのぞかんとす。
きたる七日正午、首を洗って道灌山にきたりわれらの誅りくをまつべし。もしおくれてきたらざるにおいては、大腰ぬけのウジ虫太郎と改名、江戸三千里の外に退散すべきものなり。
青柳又八郎・覚心坊・猫間犬丸
このたて札が、江戸じゅうのうわさになったことはいうまでもありません。
「天魔太郎というのはだれだ?」
「青柳又八郎はゆうめいな剣術つかいだが、覚心坊や猫間犬丸というのは一体なにものだえ?」
といったところで、あまり知っている人もありません。
いよいよ四月七日、この果しあいの当日になると、定めの場所の道灌山は、まえの晩からつめかけた見物人で、山いっぱいにまっ黒になるほどの人出でした。