Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
Read 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 45,616 characters · 90 screens
見物の衆にまじっていた虎吉少年や野州の熊五郎が、あいての猫間犬丸のしぶとさに、ひどく腹をたてたのです。
「コラ、手出しはならぬぞ。立ち合いのじゃまをすると、ゆるさんぞッ」
やぐらの上から天魔太郎にどなられて、礫はハタとやみました。
「よし、このうえは腕ずくでまいるか」
猫間犬丸は、あいてに助太刀があると見て、やぐらの上からヒラリととびおりました。さすがに非凡の体術です。
「それもよかろう」
つづいてとびおりた天魔太郎、ふたりは矢来の中ほどまで左右からちかよると、ほどよいところにふみとどまってキッとあいてを見やるのです。
色じろで、端正で高貴の相さえある天魔太郎と、色があさ黒くて、するどくはげしい猫間犬丸。年は二つ三つちがっても、まことに申しぶんのないあいてです。
ひとりは心外道人ゆずり、果心居士の流れをくむ幻術、それに対して犬丸のほうは、悪鬼ラセツがつかうという天竺(今のインド)流の妖術。いずれも群衆催眠術の二つの型にすぎませんが、流派がちがうと、そのあらそいもまた、一だんとはげしくなります。
術と術とのあらそいは、天魔太郎のほうに一だんの強味があり、猫間犬丸あきらかに負けでしたが、こんどは年と体力にものをいわせ腕くらべしていっき打ちの勝負をしようとするのでしょう。