Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
Read 春泥・三の酉 (しゅんでい) by 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 86,075 characters · 173 screens
六
」
「何ですか、しかし?」
「いゝえ、旦那なら。……きッと旦那ならハッキリいって下さるだろうと思うんで。」
「とてもそんなむずかしいことは……」
「いゝえ、やさしいことなんで。――『新派』っていうものはこのさきどうなりましょう?」
「…………?」
「それと『女形』ってものはこのさきどうなるんでしょう?」
「…………」
しばらくして「うたむら」の主人は口を開いた。「さァ……」
「お待ち遠さま。」
小女が、そのとき、田代と「うたむら」の主人の前へそれ/″\熱い銚子を運んで来た。
六
「あたくしは、いゝえ、御存じの通りの暢気もの。――ついぞ、そんなこと、思ってみたこともなければ、そばで誰が何といおうと平気なもんで、だからお前は後生楽だの、苦労を知らないふところ育ちだのと、小倉君や三浦君によくそういわれます。――いくらしかしそういわれても『新派』ってものはどこまで行っても『新派』、由良一座というものはどこまで行っても由良一座。……新しい芝居だの剣劇だのがいくらさかって来たって、それはそれ、これはこれ、だからといっていまさら『新派』の土台の動くわけはないと思います。――それァあたくしだって、行詰ったの、長い正月はないの、世間でいろ/\キザなことをいうのも聞いていれば、見物だって、それァ、ときによると以前の半分も来ない。